この地に来てもう半世紀以上経って、
多摩川はいつもあまりに身近な存在で、
大きな災害も起きていたけれど、
ここ数十年は護岸整備も進んでいて、
奥多摩の深い森に守られてもいて、
なんの心配もしないで過ごしてきた。
転居して間もなく、幼い妹と2人河原まで遊びに出たら
迷子になって土手の上の道を泣きながら行ったり来たりしたこと。
高度成長期の前は水がきれいで小魚がザクザクとれて、から揚げにするととっても美味しかったこと。
だんだんと水質が悪くなってきて、落差の有る場所では泡だらけになってニュースになっていたこと。
それでも、周辺の下水が整備され少しずつ水の色が澄んできて
いつの間にかまた小魚が群れて泳ぎ、驚くほど青いカワセミまで訪れるようになったこと。
大きな犬を飼っていたころ、広い広い河原を独り占めして駆け回ったこと。
多摩川はただそこに在るとだけ思っていた。
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